ここでいう【見る】とは単に視力だけの問題ではなく、自由自在に目を上下、左右に動かし、動いているものを目で追う力『眼球運動』や、見たものの情報を脳で処理し、全体を把握する『視空間認知』などの視覚機能です。
ビジョントレーニングを行うことで感覚統合療法でも第一段階の基礎となる5つの感覚【触覚、聴覚、前庭覚、固有受容覚、視覚】が育ち、運動コントロールの基礎、集中力の向上につながります。
結果的に目と手の協調性や、言語機能等が発達することで、学習や運動の達成、社会性の構築へつなげることができます。
例えばお箸を使うという動作の時も、まずはお箸の位置や形をみて、自分との距離を測ります。また指で動かしているお箸の動きを見て、食べ物を見ます。見るという力を訓練することにより、様々な動作の導入がスムーズになります。
またそのイメージを言葉としてアウトプットすることで、仲間と共有し、コミュニケーション力の発達につながります。お箸を指で動かすという運動に関してはコーディネーション能力の連結能力、識別能力などと関係しており、
コーディネーショントレーニングの説明で記載しております。
「原始反射」をご存じでしょうか。
原始反射とは、赤ちゃんが生き残るため、また成長していくために脳にあらかじめ用意された必要な動きのことです。
体の成長と共に統合されていくはずの感覚が統合できていない原因の1つに「経験不足」があげられます。発達・成長において、年齢と共に必要な時期に必要としている感覚刺激を消化することが、次の発達段階へと繋がっていきます。経験不足によって、十分に消化しきれていないまま年齢と共に見た目(身体)だけが成長をしていき、「原始反射」の必要以上な残存が、様々な感覚の統合を妨げ、「集団行動や感情のコントロールが難しい」「集中できない」などの生きづらさや学びづらさに繋がる可能性も大いにあります。
子どもは時折室内、もしくはその場でグルグルと回り続けるという行動をする事があります。 これは前庭系の刺激を求めていることが現れている行動です。前庭系は動きや頭の位置の変化をとらえ、バランスや空間見当識を維持する働きがあります。子どもは本能的に揺れや回転が発達に必要なことだと知っているから、扇風機のように回転しているものや、水道から流れる水、メリーゴーランドなどを好む傾向にあります。
直立姿勢を維持することや、じっと座ることが苦手な子どもたちに、身体のバランスの制御システムである前庭系への刺激を与えることで、バランスや空間認知力を高め、改善する効果が期待できます。
原始反射には多くの種類がありますが、まんまるでは視覚に影響を及ぼす可能性のある原始反射を主に取り上げてプログラムを組みます。
どの段階からのトレーニングが必要かを確認し、遊びの中でその子どもが求めている刺激を消化させていきます。そうすることで、感覚の偏りをなくし、基本機能を整え、自分の力を発揮しながら物事に取り組む事ができるよう支援をしていきます。